八百万 自然の中の神々からのメッセージ 天岩屋神話の主役たち 長野 戸隠神社

2017.11.10  Chikako Natsui
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戸隠神社は、「天岩屋神話」で飛来した天の岩戸でできた戸隠山を中心に開かれ、
奥社、中社、宝光社、九頭龍社、火之御子社の五社からなり、それぞれ「天の岩戸開き神事」に
功績のあった神々をお祀りしています。

ここで、少し神話の話をしましょう。

「天岩屋神話」とは?

素盞嗚尊(すさのおのみこと)が高天原で乱暴を働いたため、
太陽神・天照大神(あまてらすおおみかみ)は天岩屋(宮崎県高千穂)に隠れてしまいました。
そのため世界は闇に包まれ、悪しき神々によって災いがおこるようになったのです。
困り果てた八百万の神々は天安河原に集まり、対策を練りました。
そこで知恵者として知られる天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)の提案により、
天岩屋の前で神々が神楽を奏して賑やかに宴を催し、天照大神の興味を引くことになったのです。
天鈿女命は、神がかり状態で踊り、それを見た八百万の神々は笑い転げ、
宴を楽しんでいることを装います。
一方、天照大神は岩屋の外の賑やかさが気になって仕方なくなり、岩戸を少し開け、
外の様子を窺います。
「私が岩屋にこもり、世界は真っ暗闇になって大変だと思っていたけれど、八百万の神たちは、
どうしてあんなに楽しげに笑っているのだろうか?」
天照大神は思います。
宴の間中、岩戸の陰に隠れていた天手力雄命は、その機を見逃すことなく、
岩屋の中から天照大神を引っ張りだしました。
そして、二度と天照大神が岩屋にこもることがないように、岩戸を下界に投げ飛ばしたのでした。
その岩戸が落ちた先が、戸隠山といわれています。

前述のとおり、戸隠神社は奥社、中社、宝光社、九頭龍社、火之御子社の五社からなっています。

ここでは、それぞれの御祭神と御由緒などをご紹介いたします。

奥社

御祭神 天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)
御由緒・御神徳
天照大神が天の岩屋にお隠れになった時、無双の神力をもって、天の岩戸を
お開きになりました。
戸隠神社の御本社として全国に開運、心願成就、五穀豊熟、
スポーツ必勝などの御神徳が広宣され多くの崇敬者が登拝されます。

 

奥社

 

中社

御祭神 天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)
御由緒・御神徳
天照大神が天岩戸にお隠れになった時、岩戸神楽(太々神楽)を創案し、
岩戸を開くきっかけを作ったという神です。
学業成就・商売繁盛・開運・厄除・家内安全に御神徳があります。

中社

 

宝光社

御祭神 天表春命(あめのうわはるのみこと)
御由緒・御神徳
天八意思兼命の御子神です。
開拓学問技芸裁縫の神・安産の神・女性や子供の守り神として御神徳があります。

 

九頭竜神社

御祭神 九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)
御由緒・御神徳
天手力雄命が奉斎される以前に地主神として奉斎され、心願成就の御神徳高く
特別なる信仰を集めています。
また、古来より水の神、雨乞いの神、虫歯の神、縁結の神として尊信されています。

 

九頭竜神社

 

火之御子社

御祭神 天鈿女命(あめのうずめのみこと)
御由緒・御神徳
岩戸の前で舞われた天鈿女命が主祭神で他に三柱の神様が祀られています。
舞楽芸能の神、縁結びの神、火防の神として尊崇されております。

(戸隠神社公式ホームページより抜粋)

 

今回cosmic connectは、戸隠神社の奥社、中社を神旅しました。

長野駅からバスに揺られること1時間ほど、
途中、有名な善光寺を経由し、戸隠山へ入っていきます。
善光寺さんに差し掛かったあたりから、明らかにエネルギーと波動の質が変わったのが分かりました。

「神様がいらっしゃるお山に来たのだ」

車窓の景色に思いを馳せました。

中社 鳥居

まずは、中社到着。

実は、バスを降りる停留所を間違え、ひとつ手前の停留所で下車してしまいました。
それもまた意味あることで、趣きのある門前町を歩くことで、私もエネルギーが高まります。

戸隠神社 中社目前で目に入ったのは、道路の傍の御神木です。
その大きさにまず圧倒されました。

厳かな鳥居をくぐり抜け、石段を登り中社本殿を目指します。

中社は奥社とともに相殿とされていたのを、1087年に、この地に遷祀されたといいます。
取材に訪れたこの日は、まだ朝の早い時間だったせいか、人も少なく、
ゆっくりお参りできました。境内には、樹齢700年を超える御神木と樹齢800年を超える
三本杉が威風堂々とそびえ立っています。
その御神木を崇めると、幾世を経てもなお、この地と訪れる人々を見守り続けていることが
伝わります。
しばし、我を忘れて、御神木が発するエネルギーを感じていました。

また、本殿横にはさざれ滝があり、ほとんどの参拝者はこの滝に足を向けていました。
その滝を見ていると、穢れが祓われ、そして、水の音に癒されます。

三本杉

ひとしき中社で癒されたあとは、1時間に1本ある路線バスに乗り、奥社へと向かいました。

中社から奥社の入り口まではバスで行くと10分もかからないほどです。

バスを降り、表参道からは、天然記念物の指定もされている杉並木が奥社まで約2km続きます。

その道の途中には、苔むした修験道の大講堂跡や院坊跡などがあり、時間の流れと共に、
そこここに神々を感じながら、ゆっくりゆっくりと御本社へと歩を進めました。
参道を歩きながら、その間も戸隠神社の様々な神様に守られているような気持ちになりました。

杉並木

平坦な杉並木だった道は途中階段へと変わり、ようやく奥社へ辿り着きます。

創建は、紀元前210年。第8代孝元天皇の御代です。
岩山を背に鎮座するお社は、天岩屋神話の立役者 御祭神・天手力雄命の力強いエネルギーに
包まれていました。
そのエネルギーに私もあやかり、ここまでの疲れを癒すことしばし。
中社より少し高い位置に鎮座しているので、風に吹かれ、清々しさを感じます。

体力が戻ってきたところで、御本社の横に目を向けると、そこには、水を司る九頭龍大神を
御祭神にいただく九頭龍社がありました。
実は、この九頭龍社は、天手力雄命が奉斎される以前から、この地の地主神様として奉斎され、
戸隠信仰の源となっています。
心願成就の御神徳もあり、特別な信仰を集めています。

今回は、神代の時代と今を
行ったり来たりしながら、神話に出てくる神々を身近に感じる神旅でした。

戸隠神社ホームページ http://www.togakushi-jinja.jp

※参考文献 信州・戸隠山「戸隠神社」